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GLP-1を2年打ち続けたら、体重は維持できるのか。104週データの話

GLP-1をやめずに2年打ち続けたら、体重は維持できるのか。STEP 5では104週で平均−15.2%(プラセボ−2.6%)、10%以上を維持できた人が61.8%、15%以上が52.1%。ただし群平均は個人の保証じゃない。臨床データに沿って、誇張なしで整理しました。

27 min read

本記事は情報提供およびライフスタイル参考を目的としており、医学的助言ではありません。健康に関する判断は医療専門家にご相談ください。

GLP-1を2年打ち続けたら、体重は維持できるのか。104週データの話

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1年が過ぎたころ、わたしの頭にいちばん居座っていたのは、うれしさよりも小さな不安でした。目標のすぐ手前まで来た。ここまではよかった。でも、この先はどうなるんだろう。来月も、半年後も、この数字のあたりにいられるんだろうか。

先に断っておきます。ここから書くのは、わたし個人の体験と、公開されている臨床試験のデータを混ぜたものです。数字はぜんぶ「平均」で、あなたがそこにぴったり立つ保証はありません。効き方も体の反応も、人によってまるで違います。それでも、出どころのはっきりした話なら、少しは足しになるはず。

わたしが本当に知りたかったのは、「やめたら戻るのか」ではありませんでした。やめる話は、また別のときに。知りたかったのは、その手前。「やめずに打ち続けたら、2年目の体重はどうなるのか」。この地味な問いに、まっすぐ答えてくれる試験がありました。

検索してここにたどり着いた人も、たぶん似たところで足を止めているはずです。1年という区切りは、いかにも「ゴール」っぽく見える。でも本当に気になるのは、その線を越えたあとのこと。テープを切って終わりではない。そこからまだ道が続くのだとしたら、その道はどんな形をしているのか。わたしがほしかったのは、勇気づけの言葉より、そういう地図のほうでした。

STEP 5が実際に見たもの — 104週、打ち続けた2年目

その試験の名前を、ここでは「STEP 5」と呼びます。肥満症用のセマグルチド2.4mg(日本ではウゴービ)を週1回、プラセボと比べたもの。ポイントは期間です。追いかけたのは104週。だいたい2年です。

打ち方も大事なので、先に置いておきます。いきなり2.4mgを打つわけではありません。最初の16週で少しずつ量を上げていって、そこから2.4mgの維持量を88週ぶん、つまり104週まで打ち続けました。途中でやめていません。ここがいちばん大事なところです。見ているのは「やめたらどうなるか」ではなく「打ち続けたらどうだったか」。

もうひとつ。両方の群とも、生活習慣の改善を一緒にやっています。食事や運動のサポートを受けながらの2年でした。だから出てくる結果は、薬だけの手柄ではありません。薬プラス生活習慣、その二人三脚の到達点です。

なぜ104週まで見るのが大事だったのか。半年や1年の数字なら、ネットにいくらでも転がっています。でも、体が薬に慣れて、生活も落ち着いたあと。この「2年目の踊り場」で何が起きるかは、意外と語られない。減量の勢いが一段落したあと、体重はそのまま保たれるのか、それとも静かにずり戻っていくのか。そこを2年ぶん追いかけたところに、この試験の値打ちがありました。

この試験が最初に見ると決めていたのは、二つ。104週の時点で体重が何%変わったか、そして5%以上減った人がどれだけいたか。この二つを軸に、2年目に起きたことをほどいていきます。

2年目の「平均」の結果

まず、いちばん知りたい数字から。

項目セマグルチド2.4mgプラセボ
体重変化(104週時点)−15.2%−2.6%
群間差−12.6ポイント

104週の時点で、セマグルチド群は平均−15.2%。プラセボ群は平均−2.6%でした。薬そのものの上乗せぶんが、群間差の−12.6ポイントです。2年たっても、この差はきれいに残ったままでした。

ここで、ものさしを取り違えないでほしいところがあります。−15.2%も−2.6%も、それぞれの群が最初の体重から何%変わったか、という「各群の合計の変化」です。いっぽう−12.6ポイントは、その二つの差。だから三つを足したり、同じ目盛りに並べたりはできません。−15.2%を−2.6%の上に「積み増した」ように読むのも、まちがいです。それぞれが、その群の合計の数字なんです。

おもしろいのは、プラセボ群も−2.6%で、きっちり元どおりに戻ったわけではないこと。生活習慣の手当てだけでも、少しは動く。ただ、打ち続けた側との距離は、やっぱり大きい。この「差が2年たっても残っていた」ことが、いちばんの見どころでした。

わたし自身の2年目も、この表の数字とそう遠くありませんでした。1年目のような派手な下がり方は、もうありません。数字はほとんど横ばいで、たまに少し戻って、また戻す。その「大きく崩れないで、あたりを保っている」感じが、まさに−15.2%という平均の内側にある体感なんだと思います。劇的ではないけれど、これはこれで、ちゃんとした結果でした。

どれだけの人が維持できたのか

平均は景色の真ん中しか教えてくれません。もっと知りたいのは、「実際に何割の人が、減った体重をキープできたのか」。

減量ラインセマグルチド2.4mgプラセボ
10%以上を維持61.8%13.3%
15%以上を維持52.1%7.0%

104週の時点で、10%以上を維持できていた人はセマグルチド群で61.8%、プラセボ群で13.3%。15%以上まで維持できた人は52.1%と7.0%でした。ラインをもっと広げると、5%以上を維持した人はセマグルチド群で77.1%、いっぽう20%以上でも36.1%が残っていました(どちらもセマグルチド群の数字)。

ここが、いちばん誤解されやすいところ。この77.1%・61.8%・52.1%・36.1%は、足し算できません。入れ子だからです。

5%以上を維持した人の中に、10%以上の人がいる。そのまた中に、15%以上の人がいて、いちばん奥に20%以上の人がいる。だから合計すれば100%を軽く超えて、意味をなさなくなる。正しい読み方は、「10%以上を維持できた人の多くが、そのまま15%以上も維持していた」という重なりのほう。

もうひとつ、ものさしが違うことも押さえておきたい。この割合は「体重が何%減ったか」ではなく、「あるラインを2年目まで維持できた人が、何割いたか」という別の目盛りです。減量幅の話と、人数の話。混ぜると、話の輪郭がぼやけます。

この割合を初めて見たとき、正直ほっとしました。15%以上を維持できたのが52.1%。ざっくり半分です。裏を返せば、残りの半分は、それより手前にいる。もし自分が15%まで届いていなくても、それは「失敗」ではなくて、ただ真ん中より少し手前にいるだけ。そう思えるだけで、体重計に乗るのが、ずいぶん軽くなりました。

数字の裏には、地味な現実もあります。2年目の維持は、じっとしていて手に入るものではありませんでした。試験の参加者も、生活習慣のサポートを受けながらの数字です。わたしの体感でも、朝のたんぱく質を固定する、エレベーターより階段を選ぶ、そういう小さな習慣を切らさないことが、横ばいを支える土台になっていました。維持というのは、静止ではなく、静かな継続のことなんだと思います。

平均は、あなたの数字じゃない

さて、ここでいちばん大事なことを。平均−15.2%という見出しは、強く見えます。でもこれは、「あなたも2年後に15%維持できる」という約束ではありません。

証拠は、さっきの応答者の階段そのものです。5%以上を維持できた人は77.1%、20%以上まで維持できた人は36.1%。同じ薬を同じ2年打っても、ハードルが上がるほど到達できた人の割合は減っていきます。もし全員が同じところに着地するなら、こんな段差にはなりません。段差があること自体が、「人によってまるで違う」という事実の裏返しなんです。

見出しの平均は、集団の真ん中を教えてくれるだけ。あなたがその真ん中に立つとは限らない。もう少し手前かもしれないし、奥かもしれない。だから比べる相手は、他人のSNSでも群平均でもなくて、先月の自分でよかった。

体質・もとの体重・食事・睡眠・ストレス。効き方を左右する変数は多すぎて、誰も「あなたは2年で何%」と言い当てられません。この階段を先に頭に入れておくと、数字に一喜一憂しないで済みます。わたしが2年目に手放せたのは、体重そのものより、この「平均への過剰な期待」でした。

1年目のわたしは、他人の成功談と自分を、しょっちゅう並べては落ち込んでいました。SNSでバズるのは、いつも階段のいちばん奥にいる人たちです。でも、その人たちが「ふつう」なわけではない。階段の全体を知っていれば、自分がどのあたりにいるのかを、最初から落ち着いて構えられます。数字は、脅すためではなく、身の丈を測るために見るものでした。

この結果には前提がある — 「打ち続けた」ということ

もう一度、いちばん大事な前提に戻ります。この2年の維持は、「2.4mgを打ち続けた」うえでの話でした。16週かけて上げて、そこから88週、合計104週ずっと打っている。途中でやめた人の景色ではありません。

だからこの数字を、「一度2年やれば、あとは薬なしでも大丈夫」という意味に読むのは、方向がずれています。STEP 5が見せてくれたのは、あくまで「打ち続けたら、2年目もこのあたりを保てた」という一点です。やめたあとどうなるかは、この試験の担当ではありません。

そう考えると、この薬の性格は、血圧や血糖の薬に近いのかもしれません。使っているあいだは効いてくれる。慢性の状態と長くつき合っていく、管理のための一手。意志が強いか弱いかの話ではなく、体のしくみの話です。減らすことより、減らした体重とどう暮らし続けるか。2年目の宿題は、そっちにありました。

ここを誤解すると、あとがしんどくなります。「2年やりきったから、もう卒業」と勢いでやめてしまうと、続けた前提で出た数字とは、別の物語が始まってしまう。だからわたしは、いまも「いつやめるか」より「どう続けて、どう量を調整していくか」を医師と話しています。ゴールの旗を探すより、長く走れるペースを探すほうが、2年目の自分には合っていました。

日本での立ち位置と、お金の話

ここで、日本の現実に足を戻します。STEP 5の数字は臨床試験の中の話で、日本の制度とは別物だからです。

セマグルチドは、日本では2型糖尿病の薬として保険適用があります。でも、体重管理そのものを目的にした処方は、原則として自由診療。全額自己負担です。金額はクリニックによって幅がありますが、月3万〜7万円前後が目安になります(2026年時点)。2年続けるとなると、この費用が背景でずっと効いてくる。「維持できるか」と同じくらい、「続けられるか」も現実的な問いでした。

承認の話も、ひとつ切り分けが要ります。次の章で触れる枠組み警告や禁忌は、米国FDAのラベルの話です。日本ではPMDAの承認がベースで、FDAが承認したからといって、そのまま国内の承認や適応を意味するわけではありません。ウゴービは日本でも肥満症で承認されていますが、処方にはBMIの基準があって、誰でも美容目的で、というわけにはいきません。

お金の話は、生々しいけれど避けて通れません。1年目は「効くかどうか」で頭がいっぱいでした。2年目に入ると「これをあと何年、無理なく続けられるか」が現実的な問いになります。効果が保てても、家計が保てなければ続きません。だから2年目の相談では、費用の見通しも一緒にテーブルに載せておくのがよかった。数字の維持と、生活の維持は、両輪でした。

安く手に入れたくて、個人輸入で自己流に、という発想が頭をよぎる人もいるかもしれません。でも偽造品や健康被害のリスクがあって、次に書く病歴のチェックを飛ばすこと自体が危ない。入り口は、やっぱり医師の診察でした。

安全の線引きと、医師との会話

ここは、テンションを上げる話ではなく、本当はいちばん最初にやるべきチェックです。安全の線を、はっきり3段階に分けておきます。同じ重みで語ると、大事なところがぼやけるからです。

いちばん上は、絶対にダメな条件。本人や家族に髄様甲状腺がん(MTC)、または多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の既往がある人は、禁忌です。米国FDAのラベルでは、甲状腺のC細胞腫瘍に関する枠組み警告(boxed warning)がついていて、これは「念のため」ではなく、はっきり使ってはいけないという線でした。

一段下がって、警告・注意のレベル。急性膵炎です。これは禁忌ではありませんが、疑われる場合は使用をやめて、適切な対応をとる、というのがラベルの立場。ありふれた胃の不調と、放っておいてはいけない痛みは、別物として扱います。

さらにその下に、よくある体の反応があります。吐き気、嘔吐、下痢、便秘といった消化器系のもの。多くの人が通る道で、量を上げる時期に出やすい。頻度の数字はここでは置きませんが、「起こりうるもの」として最初から織り込んでおくと、慌てずに済みます。

わたし自身は、量を上げる時期に胃の重さがぶり返すことがありました。でも、たいていは数日で落ち着く。大事なのは、ふだんの吐き気と、背中まで響くような強い痛みを、同じ引き出しに入れないことです。前者はやり過ごすもの、後者は受診の合図。この二つを取り違えないことが、長く続けるうえでいちばんの安全弁になりました。

始める前に医師と確認したいことなぜ大事か
甲状腺の家族歴(MTC・MEN2)米国FDAラベルで禁忌に該当しうる
膵炎の既往急性膵炎の警告。疑い時は中止
いま飲んでいる薬飲み合わせを事前に確認

順番も、じつは大事でした。1年目のわたしは、効果の話ばかり先に調べて、この線引きを後回しにしていました。でも本当は逆です。使っていい体質かどうかを確かめるのが先で、どれだけ減るかは、そのあと。2年目まで続けるつもりなら、なおさら、この土台を最初にきちんと置いておきたい。長く付き合う相手だからこそ、入り口のチェックが効いてきます。

2年目まで来て、この線引きだけは省かなくてよかった、と心から思います。維持できるかどうかの前に、そもそも自分が使っていい体質か。そこを医師と確かめるのが、いちばんの入り口でした。

よくある質問

2年続ければ、必ず15%は維持できますか。

いいえ。−15.2%はあくまで群の平均で、個人の保証ではありません。2年打ち続けても、5%以上を維持した人が77.1%、20%以上だと36.1%と、結果は大きく割れました。自分がどこに着地するかは、続けてみないとわからない、というのが正直なところです。

やめたら、どうなりますか。

その答えは、STEP 5の担当ではありません。この試験が見ていたのは「打ち続けた2年」だけ。やめたあとの体重については、別の設計の試験の話になります。判断は、あなたの体を診てくれる医師と一緒に。

日本では保険がききますか。

2型糖尿病なら保険適用ですが、体重管理そのものを目的にした処方は、原則として自由診療です。全額自己負担で、月3万〜7万円前後が目安(2026年時点)。2年という長さで考えると、続けやすさも一緒に相談しておくと安心でした。

生活習慣は、もう気にしなくていいですか。

いいえ、むしろ逆でした。STEP 5では、両方の群とも食事や運動のサポートを受けています。つまり2年目の維持は、薬だけで成り立っていたわけではありません。薬が食欲のブレーキを貸してくれているあいだに、たんぱく質を意識する、体を動かす習慣を切らさない。この土台がある人ほど、あとが楽になる、というのがわたしの実感でした。

ここに置いたのは、公開されている臨床試験や論文をもとにした情報と、わたし個人の感想です。始めるか、どう続けるか、量をどう調整していくかは、ネットの体験談ではなく、実際にあなたを診てくれる医師と相談しながら決めてください。あなたの2年目の選択が、数字に振り回されるのではなく、あなた自身の納得から生まれますように。

参考文献

本記事の事実に関する記述は、以下の一次資料に照らして確認しています。

  1. PubMed Central (NIH)pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9556320
  2. ClinicalTrials.govclinicaltrials.gov/study/NCT03693430

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