人間ドックのオプションで男性ホルモンを測る。結果表に「テストステロン 低値」の一行が出る。その一行だけが、やけに大きく見えます。
そのまま検索窓に入れると、今度はGLP-1の話が出てきます。「痩せる注射を打ったら男性ホルモンが戻った」。掲示板にもXにも、その手の書き込みが並んでいます。
先に、大事なところだけ書きます。テストステロンが上がったという報告は、たしかにあります。ただ、その上昇が薬の直接作用によるものだとは、報告した論文自身が結論づけていません。一方で減量そのものには、GLP-1が出てくるずっと前からの根拠が積み上がっています。
薬が精巣に直接効いた、という話。体重が減ったからもとに戻った、という話。似ているようで、まったく別ものです。この2つを分けて読めるかどうかで、期待のかけかたが変わります。
おもしろいのは、その分かれ目が1本の論文のなかにそっくり入っていることです。上がったという結果を出しておきながら、精巣に直接効いたとまでは言えない。同じ論文の結論に、そう書いてあります。
「機能性」と呼ばれるタイプは、何がちがうのか
男性のテストステロンが低いとき、原因はざっくり2つに分かれます。ひとつは精巣や下垂体そのものに問題があるタイプで、もうひとつが体重や代謝の状況に引っぱられているタイプ。後者が「機能性」と呼ばれるほうです。
ネットだと「男性更年期」という言葉とセットで語られがちです。追うのは後者。体重に引っぱられて下がっているぶんの話です。
「機能性」という言い方には、けっこう救いがあります。原因が体の外側の状況にあるなら、その状況が動いたときに数値のほうも戻る余地がある、という意味だからです。逆に言えば、外側が変わらないかぎり話は進まない。
薬が登場する前からのデータがあります。低カロリー食と肥満手術を扱った24研究の系統的レビューとメタ分析。そこでは体重が減ること自体が、テストステロンの上昇と結びついていました。上がっていたのは、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)に結合したぶんと、結合していないぶんの両方です。
決め手はその先。重回帰にかけたとき、総テストステロンの上がり幅をいちばんよく決めていた因子は「体重がどれだけ落ちたか」でした。
ここに注射は一本も出てきません。食事と手術だけで、この結果です。
「痩せたら数値が戻った」という体験談は、たぶんうそではありません。ただ、それが薬の手柄なのか体重の手柄なのかは、その一行からは判別できない。分けて読むと、見えかたがだいぶ変わります。
10%を超えて落ちた人たちに起きていたこと
では、どれくらい落ちると数字が動くのか。実臨床でそこを見たデータもあります。
肥満とコントロール不良の2型糖尿病がある男性71名の後ろ向きコホート。血糖降下薬を処方したあとを追いかけたものです。体重を10%より多く落とした人の94%が、総テストステロン300 ng/dL以上になっていました。
ここでただし書きを一つ。このコホートは、GLP-1だけの集団ではありません。だから94%という数字を、ウゴービやマンジャロの成績として読むのは間違いになります。減量そのものの効き方を映した、別の窓だと思ってください。
300 ng/dLというカットオフも、この論文が基準として使った値です。日本の検査室が出す基準値と同じとはかぎりません。自分の検査結果と並べるときは、主治医に確認してください。
| 研究の枠組み | 規模 | 出てきた数字 | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| 低カロリー食・肥満手術の系統的レビューとメタ分析 | 24研究 | SHBGに結合したぶん・結合していないぶんがともに上昇 | 上がり幅の最大の決定因子は体重減少の大きさ |
| 血糖降下薬の処方後を追った後ろ向きコホート | 男性71名 | 10%より多く減量した人の94%が総テストステロン300 ng/dL以上 | GLP-1専用の集団ではない |
| GLP-1受容体作動薬の系統的レビューとメタ分析 | 7研究・680名 | 総テストステロンが有意に上昇。標準化平均差1.39 ng/mL(95%信頼区間0.70–2.09) | 同じ論文が直接作用は示せないと結論 |
GLP-1受容体作動薬のデータをまとめると、こう出た
表の3行目を、もう少しほどきます。
定量分析に入ったのは7研究、参加者は680名。治療によって血清総テストステロンは有意に上昇していました。書かれているかたちは標準化平均差1.39 ng/mL、95%信頼区間は0.70–2.09です。
標準化平均差は、単位や測り方がそろっていない研究どうしを並べるための指標です。「テストステロンが1.39上がった」と読み替えると、意味が変わってしまいます。元の表現のまま持っておくのが安全です。
数字としては、上がっている。問題は、その上がりをどちらの手柄にするかです。
数字を出した本人たちが、そのあと書いたこと
著者らは、同じ論文の結論に2つのことを書いています。ひとつは、太りすぎや肥満から来ている機能性の性腺機能低下症について。GLP-1受容体作動薬が役割をもつ可能性がある、としています。もうひとつが、精巣への直接作用のほうです。こちらは書き方がちがいます。現在の文献の限界から、GLP-1受容体作動薬の精巣機能への直接作用は示せない。そう結論づけています。
対立する2本の論文が並んでいるわけではなく、1本の論文の結果と結論です。上昇という数字を出した人たちが、その数字の解釈に自分でブレーキをかけた。そういう構図になります。
「上がった」と「薬が精巣に直接効いた」は、同じ文のなかには置けません。前者は観察された結果で、後者はまだ示されていない機序だからです。
落としどころはこのあたりです。体重が動けば、機能性のところは戻る余地がある。薬はその体重を動かす手段のひとつ。ただし精巣そのものに直接効く薬として選ぶ、という選び方は、いまの文献では支えられていません。
念のため書いておきます。性腺機能低下症や男性不妊を適応として承認した規制当局は、どこにもありません。
テストステロン補充療法とは、性質がちがう
子どもを考えている人には、ここがいちばん実用的かもしれません。
10研究・男性639名を集めた系統的レビューがあります。GLP-1受容体作動薬の使用ではLH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)が維持または上昇していて、テストステロン療法の比較群のほうでは抑制が観察されています。向きが逆です。すでにテストステロン療法を受けている人は、自己判断でやめずに、処方した医師にまず相談してください。
テストステロン療法と直接比べた試験も1本あります。使われたのはリラグルチド、肥満症向けのサクセンダの成分です。サクセンダは日本では未承認で、個人輸入は勧めません。
16週の無作為化オープンラベル試験で、参加者は肥満に伴う機能性の性腺機能低下症がある男性30名。この30名を2群に分けています。リラグルチド3.0mg群は平均7.9kg減、1%経皮テストステロンゲル群は0.9kg減。どちらの数字も、その群が自分のベースラインからどれだけ動いたかを示すもので、引き算して1つの数字にまとめられるものではありません。
そしてLHとFSHの有意な上昇が出たのは、リラグルチド群だけでした。
ここで動いた数字は、あくまでリラグルチドのものです。セマグルチドやチルゼパチドの成績として持ち出すと、主語がすり替わります。そもそもチルゼパチドはGIPとGLP-1の両方に効く二重作動薬で、純粋なGLP-1受容体作動薬ではない。同じ「痩せる注射」というくくりでも、別の薬の成績を借りてくることはできません。そこがこの分野のめんどうなところです。
| 見ている軸 | GLP-1受容体作動薬 | テストステロン療法の比較群 | この行の出どころ |
|---|---|---|---|
| LH・FSH | 維持または上昇 | 抑制が観察された | 10研究・男性639名の系統的レビュー |
| 16週の体重変化 | リラグルチド群 平均7.9kg減 | 経皮テストステロンゲル群 平均0.9kg減 | 男性30名の無作為化オープンラベル試験 |
精液所見の一文には、条件がついている
同じ10研究・639名のレビューには、精液所見についての一文もあります。「肥満または性腺機能低下症の男性では改善が報告された。健康な男性では有意な変化は認められなかった」。この2文でワンセットです。
後半を落とすと、まるごと別の主張になります。「GLP-1で精子がよくなる」という一行だけを見かけたら、たいていこのただし書きが落ちています。
改善が報告されたのは、肥満または性腺機能低下症がある人たちです。いま数値に問題がない人が上乗せを狙う。その根拠としては、このレビューは使えません。
妊活中なら、まず泌尿器科で精液検査。そこから始めるほうが早いです。ベースラインの一枚がないと、次に測った数字がよくなったのか悪くなったのか、だれにも判定できません。
大規模な減量試験が「測る」と登録した項目
期待の高さを自分で調整したいなら、ここが早道です。臨床試験は始まる前に「何を測るか」を登録情報として公開していて、そこに並んでいる項目を読めば、その試験がどんな問いに答えるつもりで組まれたのかまで見えてきます。
セマグルチドのSTEP 1(NCT03548935)から。登録された主要評価項目は2つ。68週時点のベースラインからの体重変化率(%)と、5%以上の体重減少を達成した参加者数です。登録された副次評価項目には、腹囲・収縮期血圧・体組成(除脂肪体重)の変化が入っています。
その主要評価項目が返した数字はこうです。68週時点の平均体重変化が、セマグルチド群で −14.9%、プラセボ群で −2.4%。どちらもその群が自分のベースラインから動いた総変化ですし、プラセボ群も同じ生活習慣介入を受けているので、「生活習慣の上に14.9%を積み増した」という読みかたはできません。
チルゼパチドのSURMOUNT-1(NCT04184622)もかたちは同じです。登録された主要評価項目は、主要治療期間72週時点の体重の変化率と、5%以上の体重減少を達成した参加者の割合。登録された副次評価項目には、腹囲とHbA1cの変化が入っています。
| 試験 | 登録された主要評価項目 | 登録された副次評価項目(一部) | 米国の添付文書が書く登録集団 |
|---|---|---|---|
| STEP 1、セマグルチド | 68週時点の体重変化率、5%以上の減量を達成した参加者数 | 腹囲、収縮期血圧、体組成(除脂肪体重) | 平均年齢46歳、74%が女性 |
| SURMOUNT-1、チルゼパチド | 72週時点の体重変化率、5%以上の減量を達成した参加者の割合 | 腹囲、HbA1c | 平均年齢45歳、68%が女性 |
この2つは別の試験で、別の薬です。68週と72週。どちらが上か下かを言うための直接比較は、ここで挙げた文献に含まれていません。
登録情報に並んでいるのは、体重のほか、腹囲・血圧・HbA1c・除脂肪体重といった代謝と体組成の指標です。男性ホルモンへの期待をどこまでふくらませるか。この並びを見てから決めると、あとでがっかりしません。
登録集団の内訳も、そのまま書いておきます。米国のウゴービ添付文書は、14項「臨床試験」でこの試験をStudy 1と呼んでいます。中身はSTEP 1と同じ試験で、平均年齢46歳、74%が女性。米国のゼップバウンド添付文書14項のSURMOUNT-1は、平均年齢45歳、68%が女性です。この人たちと自分がどれくらい近いか。そこは読む側が見積もるしかありません。
添付文書の受胎能の欄と、越えない線
添付文書にも受胎能の欄はあります。ただし中身はラットです。
米国のウゴービ添付文書13.1項が引いているのはラットの受胎能と胚胎児発生の併合試験で、雄の受胎能への影響は認められなかった、と書かれています。米国のゼップバウンド添付文書13.1項も、同じくラットです。受胎能と初期胚発生の試験で、チルゼパチドの精子形態・交尾・受胎能・受精への影響は認められなかった、としています。
どちらも動物のデータです。人で安全だった、と読み替えた瞬間に、書いていないことを書いたことになります。添付文書のその欄に何が書いてあるか、それだけを持ち帰るのが正確です。
適応のほうも見ておきます。米国FDAの添付文書1項では、セマグルチド(ウゴービ)は低カロリー食と身体活動の増加との併用で使う薬とされています。適応集団のひとつが「体重に関連した併存疾患を1つ以上もつ過体重の成人」です。性腺機能低下症も男性不妊も、そこには入っていません。
止まる線を2つ、そのすぐ手前をもう1つ。順に見ます。
1段目は禁忌です。 甲状腺髄様がんの本人歴または家族歴がある人、多発性内分泌腫瘍症2型の人。米国の添付文書では、ウゴービもゼップバウンドも禁忌とされています。この禁忌は4項に置かれ、同じ内容が枠で囲まれた警告にもくり返し書かれていますが、そこに「親か兄弟に限る」といった限定はついていません。家族歴という言葉のまま受け取ってください。
2段目は警告です。 急性膵炎は禁忌ではなく、警告・使用上の注意の段にあります。ウゴービの添付文書5.2項はこう書いています。急性膵炎が疑われる場合は、速やかに投与を中止して適切な処置を開始する。禁忌と警告は段がちがう。混ぜないほうが判断しやすくなります。
線の手前にあるのが胃腸の反応です。 禁忌でも警告でもありませんが、使い始めた人の口からよく出てくるのはここです。吐き気・嘔吐・下痢・便秘。やめる理由になるとはかぎりません。ただ、続けられるかどうかはここで決まります。どれくらいの頻度で起きるかは添付文書の副作用の欄にまとまっているので、処方のときに一緒に見せてもらってください。
ただし、背中まで抜けるような強い腹痛が続くとき。水も飲めないほど嘔吐が止まらないとき。この2つは胃腸の反応の段を超えています。次の予約を待たず、処方医か救急に連絡してください。
禁忌と警告と、日常的に出る反応。この3つを同じ段に置かないだけで、頭のなかがだいぶ整理されます。
なお、ここまでの項番号は米国FDAの添付文書の書きぶりです。日本の添付文書が同じ表現・同じ適応とはかぎりません。
日本での承認・保険・費用はどうなっているか
大前提として、FDA承認とPMDA承認は別ものです。適応も、承認の時期も、国ごとにちがいます。
| 一般名 | 日本での主な商品名 | 国内の位置づけ |
|---|---|---|
| セマグルチド | ウゴービ | 2023年に肥満症で国内承認、2024年発売。条件を満たせば保険適用だが、BMIなどの基準は厳しめ |
| セマグルチド | オゼンピック | 2型糖尿病で承認・保険適用 |
| セマグルチド | リベルサス | 飲むタイプ。2型糖尿病で承認・保険適用。ダイエット目的は自由診療 |
| チルゼパチド | マンジャロ | 2型糖尿病で承認。ダイエット目的は自由診療 |
| チルゼパチド | ゼップバウンド | 米国Eli Lilly製。ここで引いた添付文書は米国のもの。国内の承認と保険は処方医かPMDAで確認 |
| リラグルチド | ビクトーザ | 2型糖尿病で承認。肥満症向けのサクセンダは国内未承認で、個人輸入扱いになる |
保険の扱いは、目的で分かれます。2型糖尿病の治療として使うなら保険。肥満症のほうも、ウゴービはBMIなどの条件を満たせば保険診療のルートがあります。条件に届かないとき、見た目を目的にするときは、自由診療で全額自己負担です。そして男性ホルモンや妊活を目的にした処方は、どの適応にも入っていません。
つまり、そこを目的に使うなら適応外使用(オフラベル)です。保険はきかず、費用は全額自己負担。ただ、お金より先に来るものがあります。精巣への直接作用については、メタ分析の著者自身が「示せない」と結論づけたところで止まっている。そして適応外で使っても、禁忌と警告はそのままかかります。
受診先も迷いどころです。糖尿病として診てもらうなら糖尿病内科。体重そのものが主題なら肥満外来や自由診療のクリニック。精液所見や性機能の悩みが主題なら泌尿器科です。男性ホルモンの相談は、この境目にちょうど落ちやすい。最初の一言をどこに持っていくかで、返ってくる答えも変わります。
オンライン診療に対応しているクリニックも増えていて、初診から受けられるところもあります。ただホルモンは採血の結果ありき。血液検査をどこで受けるかまで、一緒に確認しておいてください。
金額のほうは、幅で考えておいてください。薬の種類や用量の段階、クリニックの設定で大きく変わります。ネットに出回っている相場の数字は、添付文書にも論文にも出てこないものです。実際いくらかかるかは、受診するクリニックに直接聞くのがいちばん確実です。
もう一点。個人輸入で手に入れるルートは勧めません。偽造品や健康被害の報告があり、なにかあったときに公的な救済の枠から外れます。血液検査もフォローもつかない状態でホルモンの数値を追いかけるのは、そもそもかみ合いません。
よくある質問
Q. GLP-1を打てばテストステロンは上がりますか?
上がったという報告はあります。7研究・680名のメタ分析で、総テストステロンは有意に上昇していました。ただし、その上昇が薬の直接作用によるものだとは、同じ論文が結論づけていません。上がり幅をいちばんよく決めていたのは体重の減り幅だった。これは別のデータで、低カロリー食と肥満手術を扱った24研究のメタ分析の結果です。反応には個人差もあります。
Q. じゃあ、痩せるだけでいいということですか?
減量そのものについては、薬が出てくる前からのデータがあります。低カロリー食と肥満手術の24研究メタ分析が、そこを支えています。どうやって体重を落とすかは、いまの体の状態や併存疾患しだい。そこは主治医と決めることになります。
Q. やめたら戻りますか?
気になるところですよね。ここで挙げた文献が追いかけているのは、どれも体重が落ちていく側の期間です。そして24研究メタ分析で上がり幅をいちばんよく決めていたのは、体重の減り幅でした。数字を動かしていた本体が体重のほうなら、次のテーマは「その体重をどう保つか」になります。やめる時期と、そのあといつ測り直すか。この2つは始める前に処方医と話しておくほうが安心です。
Q. 精子はよくなりますか?
10研究・639名のレビューでは、肥満または性腺機能低下症の男性で精液所見の改善が報告されました。健康な男性では有意な変化は認められていません。この条件のちがいが、いちばん誤解されやすい部分です。
Q. テストステロン補充療法とどちらがいいですか?
どちらが上か、という順位はつけられません。ただ性質はちがいます。レビューではGLP-1受容体作動薬でLH・FSHが維持または上昇、テストステロン療法の比較群では抑制が観察されました。子どもを考えているなら、その予定を診察で必ず伝えてください。
Q. 妊活中でも打っていいですか?
米国の添付文書の受胎能の記載は、ウゴービもゼップバウンドもラットの試験です。人での結論としては使えません。妊活の時期と体重管理の順番は、泌尿器科と処方医の両方に相談して決めるのが現実的だと思います。
Q. 米国の添付文書の話は、日本でもそのままですか?
そのままではありません。FDA承認とPMDA承認は別もので、項番号も文言もそろっているとはかぎりません。ここで引いた禁忌や警告は、米国の添付文書のものです。ゼップバウンドが国内でどう扱われているかは、処方医かPMDAで確認してください。同じチルゼパチドでも、日本のマンジャロは2型糖尿病の適応です。
Q. 勃起の悩みにも効きますか?
ここで挙げた研究が測っているのは、ホルモンの値と精液所見、そして体重です。勃起機能そのものの成績は、参照した文献の範囲に入っていません。気になるなら泌尿器科で、血管や神経の側もあわせて診てもらってください。
次の診察で聞くこと
外来は短いので、聞くことを先に決めておくと収まりがよくなります。そのまま読み上げても通じます。
- 「甲状腺髄様がんや多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴、カルテに入っていますか?」
- 「テストステロンは、いつ、どの条件で測り直しますか?」
- 「LHとFSHも一緒に測る意味はありますか?」
- 「子どもを考えている場合、体重管理と妊活の順番はどうするのがいいですか?」
- 「急性膵炎を疑うサインは、どのくらいの痛みからですか?」
- 「体重が何%落ちたところで、ホルモンを再評価しますか?」
家族歴の質問は、思っているより効きます。甲状腺髄様がんも多発性内分泌腫瘍症2型も、本人の記憶になくて親族の病名として眠っていることがあるからです。ここは禁忌の段。あいまいなまま進めないほうがいい場所です。
2本の線を、もう一度だけ並べておきます。体重が落ちて機能性のところが戻る。こちらには、薬より前からのデータがある。薬が精巣に直接効く。こちらは、それを報告した論文自身が「示せない」で止めた。この差が、期待のかけどころの差になります。
ここに出した数字は、公開されている臨床試験の登録情報・学術論文・米国の添付文書から引いています。ただ、自分の病歴やほかの検査値まで込みで、この話が自分に当てはまるのかどうか。そこはどの論文にも書いてありません。始めるも、増やすも、やめるも、カルテを開いて体を診ている主治医と決めることになります。
参考文献
本記事の事実に関する記述は、以下の一次資料に照らして確認しています。
- PubMed (NIH)pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23482592
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- PubMed (NIH)pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30707677
- PubMed (NIH)pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41498523
- ClinicalTrials.govclinicaltrials.gov/study/NCT03548935
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- PubMed (NIH)pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33567185
- U.S. FDA (label)accessdata.fda.gov/spl/data/58b8887c-a572-4a74-ad0b-1049d38…
- U.S. FDA (label)accessdata.fda.gov/spl/data/86a64015-7f78-4281-8b7f-579b6c3…



